ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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リノベーション会社が都市計画を本気でやるようになったら。

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最近のぼくの中で、最も気になったのは、この会社が設立されたこと。

 

www.semicolon.co.jp

 

この会社の理念がとても共感できたので、そのまま引用。

株式会社セミコロンは、これからの日本の都市経営課題の解決をミッションとするシンクタンク&プロデュースファッションとして2017年に設立されました。

地方都市は今、その所有の発達に向けて多くの課題を抱えて苦悩しています。これまでの成長時代の発想や経験則からその解決の道筋や突破口を見出すことは難あり、根本的に新しいタイプの都市マネジメントの発想・アプローチが必要です。

セミコロンの設立に向けて集結したメンバーたちはこれまでに、公民連携事業の推進、遊休不動産の再生、戦略的な都市ビションの立案、公共空間の活用・運営、地域起業のエグゼクティブプログラム、インキュベーション、メディア運営を通じた情報発信や人材と空間のマッチング事業など、都市地域の再生に向けた実績を積重ねてきました。

それらのボトムアップ型の実践を通じて得た経験とネットワークをふまえ、ある都市地域全体(あることは自治体)の経営戦略とその実行へと昇華させていますがこれからそこからの日本で求められる大きなテーマであり私たちの使命であると考えています。これまでに多くの議論を積重ね、その道筋を描いてゆける、確信した今ここ、それを社会に実装しています時とある考え、私たちはここに集結しますしました。

私たちは、言葉だけのコンセプトメイキングやハードに閉ざされた空間デザイン、持ち出し発展のエンジンを伴わないPR活動といったものは行っていません。長期的・自律的に都市の価値と持久性を担保するために必要な本質的な計画とアクションを、場の運営、事業の立ち上げや投資まで、複合的に行ってまいります。

ハードも人も産業も文化も含めて、 "今あるもの"の値を独自の視点から読み解き、再編集して活かしていますリノベーションの発想と価値観が私たちの根本にあります。

 

それが都市が持っている独自の強み・ポテンシャルを見定め、そこから新しい産業戦略、生活環境の魅力を上げる都市空間デザイン、パブリックスペース・パブリック施設・創造的な発明、変革について人材戦略、社会システムを支える制度のアップデートまで含めた統一的な視点や手法を組み合わせた都市再生ストーリーを紡ぎ、実行しています。

出典:都市経営 | 都市再生 |株式会社セミコロン

 

多少、誤字脱字が気になるし、全然スタッフとかまだまだいないし、とても会社として動ける状態ではないのかなと思ってしまうが、言っていることは、本当に共感できる。

 

会社のメンバーも超豪華。

 

 

「リノベーションまちづくり」の清水義次さん

 

 

建設省国交省たたき上げの佐々木晶二さん

 

リノベ界隈では、もうおなじみの面々。

馬場正尊さん

 

 

西村浩さん

明石卓巳さん

 

 

大島芳彦さん

林厚見さん

吉里裕也さん

青木純さん

 

 

嶋田洋平さん

 

 

宮崎晃吉さん

 

 

そして、都市経営的な部分で

木下斉さん

 

※代表著作があり、僕が読んでみておすすめの場合のみ、本のリンクを載せてます。

 

すごい顔ぶれ・・・この面々、たぶん全く動けないのだろうな。

ここで最初に働くことになるスタッフ、この豪華面々の中でしごかれ、めちゃ勉強になるぶん、すっごい大変だと思う笑 実質その人がめちゃくちゃ動くことになるのだろう。

個人的にここで働くことにすごく興味はあるが。。。あと3、4年会社設立が遅ければ、スタッフ応募してたかも。

 

 

さて、この会社の何に共有したのか?というところですよね。

 

都市計画には実行力が求められている

まずは、これです。

ぼくがずっと都市計画を生業にして、働いてきたから、嫌という程実感しています。

 

ぼくは今、都市計画は本当に必要かと問われるほど、その存在意義を大きく疑われている時期にきていると思っています。

というのも、基本的に絵に描いた餅になることが多いから。

自治体のマスタープランを見てみてもそう。

 

基本的にできること、すでに計画にあることばかりを書くか、できなさそうなことは「ふわっと」、当たり障りのないように書いて、どうとでも捉えられるようなことを書いてあるようなマスタープランばかり。

仮に少し尖ったことを書いたにしても、その後のPDCAサイクルが十分に機能していないため、言いっ放しで終わっていることが、本当に多いんです。

 

なんでこうなるかと言うと、マスタープランをつくっている自治体も、マスタープランの作成を請け負うコンサルも、実行力に乏しいから。

 

たとえば、この街を「子育て世帯に優しい街」にして、子育て世帯を増やします!みたいなことをマスタープランに書いたとしましょう。

でも、そこでできるのって、何の変哲も無い保育園を増やしたり、イオンをつくったりといった、そういうことばかりなんですよね。

けれど、そんなのってどこの自治体でもできるじゃないですか。

本当に子育て世帯を増やしたかったら、もっとターゲットを絞って、本当に人を惹きつける、他の街にはない場をつくったり、施策をつくったりしないといけない。

でも、そういう実行力に乏しいのです。

 

そういう意味では、このセミコロンという会社のメンバーは、少なくとも「他の街にはない場」をつくっている「実績」があります。

こういう実績、経験のある人たちが都市計画にまで手を伸ばすことで、これまでにない都市計画をつくってくれる気がしています。

 

リノベーションしているだけでは街は、日本は変わらない

一方で、リノベーションしている、場をつくっている。そんなことだけをしていても街や日本は変わらない。

そんな想いもきっとあったのだと思います。

やはり、1つの場、点だけで、その街を変えることは無理があります。

 

また、1つの点をつくるにしても、エリア的に考え、より広い範囲、面的に考えて、ブランディングされたものをつくる方が、その点の価値自体もより高められます。

 

さらに言えば、その点づくりを行なうために、より上位の都市計画を考える段階からその街に入り込むということもできるようになります。要は本業の場づくりを行うための布石、種まきもできる。

 

そんなことも見据えて、この会社つくったのでしょうね。

ただ、どういう風に仕事を割り振るのだろう。この人たち。生業としては、割とライバル関係にある人もいるだろうに。

 

建築だけでなく、経営、ブランディング、プロモーション、メディア・・・総合力が必要

あと、建築家だけを集めてないのも、この会社面白いですよね。

政経験豊富な方や、経営について考えられる方、ブランディングやプロモーション、メディア戦略に長けている方など、色々といます。

 

もうね、建築だけでどうにかなる時代でも無いし、建築事務所やコンサルはこういった総合力をつけて、戦うべきなんですよね。

 

けど、世の中には、全然旧態依然として、変われていない設計事務所やコンサルばかり。

本当に、この会社の設立を知って、ぼくは危機感を感じました。

 

 

★★★

この会社、今後の動向、要チェックやで!

 

そんな感じ!

それではっ!