ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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自分の信じた道を突き進もうと思える!『櫛挽道守(くしひきちもり)』(木内昇)感想

 

とても面白かった時代小説。紹介しちゃいます。 

 

簡単なあらすじ

時は幕末。

中山道の宿場町である藪原に超すごい「六櫛」職人、五助がいた。それはもう今でいう人間国宝的な職人さん。

 

ちなみに六櫛ってのはこれですね。

当時は、髪を毎日のようにあらいはしなかったので、こういった櫛を用いて汚れを落としていたそうな。

 

それで、その五助の長女にあたる主人公の登瀬。彼女は五助の櫛に魅せられ、自分も櫛挽をしたいと思うような女性だった。これは、当時の女性の生き方としてはかなり邪道で、彼女のお母さんは「女の幸せは結婚!さっさと嫁げ!」というような当時の女性の生き方を疑いもせず、世間体ばかりを機にする母親だった。

 

登瀬は櫛挽としての夢を抱きながらも女性としての「真っ当な生き方」を求められることに息苦しさを感じていた。そんな中、弟であり、五助の後継として期待されていた直助が他界。

 

それをきっかけにして、登瀬は周りの目や妹の喜和や母などの家族との確執、夫である実幸とのわだかまりなど様々なものと向き合い、苦悩しながら、ただひたすらに五助の技を自分のものとしまいと、櫛挽としての道をひたすら歩んでいく。

 

 

と、まあこんな感じのあらすじです。

基本は登瀬が自分の道を突き進んでいくって話なんですが、その過程の中で起こる様々な家族との確執や事件などが読んでて、飽きさせず、この家族は一体どうなってしまうんだろう?って中での最後に心地よい収束が待っています。その収束感が、ぼくはたまらず好きで、最後は涙しました。うん。今のぼくには忘れらない一冊です。

 

 

ぼくはこの本でこんなことを思いました。

自分の信じた道を突き進もうと思えた!

転職をする中で、自分が歩もうとしている道が本当に正しいのか、迷うことが正直多々ありました。

周りにも否定的なことを言う人もいたし、応援もそれほどされないという孤独の中で、自分が進んでいる道が間違っているのでは?と思うこともしばしば。

 

それでも、やっぱり自分は自分だし、自分に正直に生きることが、結果として周りに対しても好影響を与えるし、生きてて楽しいと思えるのだから、自分の信じた道を突き進もうと思ったんですね。

 

そんな自分の考えや、これまで歩んできた道、これから歩もうと思っている道が、決して間違いではないんだ。ということをこの本を読んで、とても勇気づけられた。

 

何か自分の進もうとしている道に悩みを抱えている人にぜひ読んでもらいたい一冊です。

 

 

家族の絆って何なのか?ということを考えさせられた!

この小説の中では様々な家族との確執が描かれます。

 

世間体ばかりを気にする母親との確執

 

そんな母親や職人気質の父親、我が道をひたすらに歩もうとする登瀬に囲まれ、生きづらさを感じ、外に出たいと思うようになった妹との確執

 

商売上手なうえ、職人としての技能も自分よりも高い才能溢れる夫との確執

 

そんな様々な確執が亡くなった弟の直助が残したあるものによって、次第に解きほぐれていきます。

 

中でも、夫との確執が解きほぐれ、行き着いた夫婦のあり方は、ぼくの理想に近いものでした。夫と妻とか、愛する男性・女性とか、そんなん全て取っ払って、長年付き合っていくことになる1人の人間・パートナーとして、こういう風に着地できたら、カッコいいなーと素直に思えました。

 

どんな風に解きほぐれて、どんな風に着地したかは、本書を読んで確認してみてください。

 

 

★★★★★

木内さんの小説はこれまで読んだことがなかったけど、とても良かったです。

 

最初は時代小説ということで、中々読みづらさを感じることもあったのだけど、途中から慣れてきて、物語も加速度的に面白くなってくると、もうどんどん次のページをめくっちゃう。そんな小説でした。

 

マジでオススメ!

 

 

 

そんな感じ!

それではっ!