マスタープランってよく聞くけど、いまいちイメージが湧かないんだよね。
なんの意義があって、どんな効果があって、なんでそんなものが必要なのか?
と問われると、明確に答えることができる人って、割と少ないと思ってます。
ってことで、今日はお勉強的なお話。
都市計画やまちづくりを勉強したいと思っている人たち、これから都市計画マスタープランの作成に住民という立場で関わろうとしている人たち、こういう仕事をしてみたいと思っている人たち、そんな人たちに読んでもらえたら、嬉しいです。
都市計画マスタープランとは?
都市計画マスタープランとは、
・その都市の現状と課題・魅力を正確に把握し、その将来を的確に見通すもの
・その将来に対して、その都市をどのようなあるべき姿へと導いていくのか、その戦略が書かれているもの
のことを指します。
要は、
・このまちってこんなところが魅力だけど、ここが課題だよね!
・このまま何もしないと、このまちってこんな風になるよね!
・でも、このまちのあるべき姿としては、こんな姿が望ましいよね!
・よし!じゃあ、この姿を目指すために、こんなことをしていこうよ!
って感じのことが書かれてあるものを、都市計画マスタープランと言います。
まあ、都市計画マスタープランに限らず、○○マスタープランって呼ばれているものは、こんな感じのことが書かれてあると思います。
都市計画法上、この都市計画マスタープランにあたるものは2つあって、
1つは「整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)」。
俗に言う「整開保(せいかいほ)」と呼ばれるもの。
これは、都道府県が定めるものですね。
そして、もう1つは、各市町村が定める「都市計画に関する基本的な方針(市町村マスタープラン)」がそれにあたります。
ってことで、この2つそれぞれで意義や効果を考えてみます。
整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)
①意義・効果
これは都道府県レベルの都市計画区域の課題や、今後数十年でどのように変えていくのか、どのような姿であるべきか、それに対して都市計画でどう対策していくのか定めるものになります。
ざっくり言うと、こんな感じのことが書かれてあるかな。
○目標(全体ビジョン、地域ごとの特色、ゾーン分けなど)
○区域区分(どこからが都市計画区域で、どこからが市街化調整区域かなど)
○土地利用や都市施設の整備方針
これを策定することによって、その都道府県及び、それに紐づく市町村の上位計画(行政が策定する計画)が全てこのマスタープランとの整合を求められることになります。
つまり、これに即してない計画はつくれなくなります。
極論ですが、勝手に広域幹線道路を市町村がつくったり、勝手に大規模レジャーランドを市町村がつくったりなんてことが基本的にできなくなります。
基本的に都道府県のマスタープラン、いわばその都道府県の将来ビジョンに即した計画づくりを各市町村で求められるわけです。
②課題
広域的すぎて、どこのマスタープランも似たり寄ったりになっています。その都市固有の目指すべき方針が見えづらいんです。
もうどこの都道府県も人口減少、少子高齢化がだいたい課題なもんだから、書いてあることも一緒。
縮退社会であることを前提に、発展的に縮退していくようなことを謳っている、挑戦的なマスタープランはあまり見ることはありません。
まあ、コンパクトシティという形でごまかしているようなものは多く見るけど。
なぜ、こうなるかというと、広域的すぎて、関わる行政内の関係部局及び合意をとるべき住民の量が圧倒的に多いからです。
色々な人の意見を聞くと、やっぱり当たり障りのないところに収束していくんですよね。
そして、未だに人口が増えることを想定しているようなマスタープランになったりしているものも、前例主義な行政の体質によるところですね。
世界でも先進的な高齢化が進んでいる日本なんだから、前例なんてないんですけどね。
ここは、コンサルの力不足もあるでしょう。反省。。。
都市計画に関する基本的な方針(市町村マスタープラン)
①意義・効果
とはいえ、やはり都市計画区域マスタープランは広域的すぎるし、ちょっとざっくりした計画になってしまうのもしょうがないよね。
ってことで、市町村マスタープランの出番です。
結局都道府県レベルでみても、各市町村レベルでみるとその課題や特徴、魅力は様々だし、それぞれの市町村の特色を踏まえて、まちづくりを行なっていくことで、都市は多彩なまちをつくっていくべきなんだ!という観点から、市町村個別で戦略、方針つくりましょうといのうがこちらのマスタープラン。
こちらは特にこれを書かないといけない!ってことは決まってなかったとおもうんだけど、まあ大体構成はこんな感じ。
○そのまちの現状課題
○理念、目標
○目標を達成するための方針、戦略
○方針、戦略の具体的内容
○地域別の方針
住民さんにも参加してもらって、地域一丸となってつくるのはこっちですね。
②課題
これも、かなり前例主義的につくられがちなところがあるので、目標や方針がどこの市町村も似たようなことばかり書かれてあることが多くあります。
また、住民参加といっても言い訳づくりのように参加させるような場合も散見されます。
ただ、ぼくは正直この方針にそこまで住民参加が大事だとは思えないんですよね。
まちの大枠の方針なんてもんは、市長をはじめ、行政がバシッと責任持って作ってしまうべきだと思うんです。
多くの方のご意見を伺ってたら、結局当たり障りない目標や方針になっちゃうんです。
たとえば、子育て世帯の話と高齢者の話両方聴いてたら、多世代に配慮したまちづくり!とかそういうことになってしまうんです。
たとえば、流山市とか明確に子育て世帯、というかお母さんにターゲットを絞って、まちをアピールしています。
まあ、これはマーケティングのうまさの例であり、マスタープランの記載は流山市も当たり障りない感じにはなっていますが、市町村マスタープランの本来の意義に立ち戻れば、もっとこのようにその市町村の色を出すべきだと思っています。
で、その色を出すためには、色々な人の意見を聞きすぎてはダメなんですね。
目標、方針までは少数精鋭で決めてしまった方がよくて、その方針の具体的な内容について、住民と意見を交わすべきです。
また、その具体の内容についての議論はゆくゆくは住民の手によるエリアマネジメントに発展していくように議論していくべきなんだと思ってます。
あと、これらの方針はつくって終わりではなく、本当に実行されているかどうか、適宜見直していく必要があります。方針策定後のチェック体制もまた必要なんですが、現実、つくって終わってしまっているようなところも結構多くみられます。
★★★★★
ってことで、今回は真面目に都市計画マスタープランのことについて自分なりの考えを書いてみました。
こんな感じ!
おしまいっ!