ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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AIが発達するこの先の未来における建築や都市計画の中で奪われる仕事、新たな職能

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AIの時代が今すぐにでも到来しそうな勢いです。てかすでに到来してますね。

ieiri-lab.jp

 

手描きで書けないとダメだ!と未だにアナログを重要視する人が多い建築業界ですが、このAIが進化することでどんなことが起きるのか、ちょっと考えてみました。

 

今中高生くらいの子は働き盛り真っ只中にこのAIと戦っていくことになる可能性も大です。というぼくも管理職になってるくらいの歳までに、このAIに勝てる何かを身につけておかないとなと思うわけです。

 

 

AIによって、奪われるであろう建築関連の仕事

設計業務

建築のデザインはクリエイティブなものだから、AIができても仕事は奪われない。とか思う人もいるわけですが、そう悠長にも言ってられないです。

kenplatz.nikkeibp.co.jp

 

10plus1.jp

 

上の記事にもあるように実際に簡単な設計であれば、だんだんとAIに侵食されていってしまいます。

なんの変哲も無いマンションやオフィス、戸建住宅をつくっているような会社の業務は次第にAI化していくでしょう。

だいたい今もこういうところの設計は、ほとんど自社のシステムに当てはめて、ほぼほぼパタン化された設計しかしていないので、余裕で仕事はAIに奪われます。

 

また、世界中の建築デザインをAIが学習し始めたら、有名建築家の設計よりも革新的なデザインの建築をAIが提示する可能性だってあります。

 

意匠だけでなく、設備や構造設計も俄然AIに奪われる可能性がありますよね。構造計算なんて人がやるよりAIがやる方がもはや安全と思ってしまいます。

 

 

確認申請

www.rbbtoday.com

 

BIMデータを使用した確認申請をやりはじめたら、もう確認申請のAI化が進むのも間近のように思います。

データで提出すれば、建築基準法に合致しているか勝手にAIが判断してくれる。建築指導課的な課は行政にほぼほぼいらなくなります。

また、建築基準法に合致しているかどうかだけでなく、再開発等についても待ったをかけるようになるかもしれません。

そうなると、日本全国、世界中の再開発事例を立地や事業費やその後の投資回収率などを踏まえて、その再開発が成功する可能性が高いか失敗する可能性が高いか判断してくれるようになるでしょう。

失敗する可能性が大なら、申請を通さないようになるとか、人ではあらゆるしょうもない理由で判断できない事柄を、AIは客観的なデータに基づいて、いたって合理的な判断をするようになる。なんてこともあり得ます。

 

ただ、こういうケースバイケースによるところはAIというよりは人の判断によると思います。

 

一団地認定の職権取消しを明確化 国交省・検討会が取りまとめ - 住宅新報web | マンション管理

 

検査済証がない建築物の救済策? 国土交通省がまとめたガイドラインの背景とは | 住まいの「本当」と「今」を伝える情報サイト【HOME'S PRESS】

 

建築基準法86条(一団地)認定の取り消しは本来は、区域内の土地や建物所有者の全員合意が必要と、かなりハードルが高いのですが、あまりにもハードルが高すぎて分譲団地の建て替えが進まないなどの課題がありました。

この職権取り消しは、特定行政庁が自らの判断で、全員合意を得なくても取り消せるようになったということですが、こういう特殊ケースはまだAIでは判断できず、その時々の時勢や政治的な駆け引き、行政の上位計画、住民の意向などを複合的に踏まえた判断になるでしょう。

 

検査済み証の判断も同様です。

 

 

AIによって重視されるであろう建築の新たな職能

ディレクション能力(指揮者としての役割)

AIによる設計ができるようになると、建築の人間はそのAIが示した設計を発注者のニーズに照らし合わせて、本当に良いか判断できる能力が必要になります。

おそらくAI活用後、当面は微調整などが必要になると思います。

そのときに、何をどう微調整するべきか、誰にその作業を行わせるかなど、様々な分野の人を巻き込み、指揮者のように適切に判断、指示する能力が求められてくるでしょう。

 

コミュニティ形成能力(人と人との関わり)

なんでもAI化が進んだり、それと同時にロボットなどによるサービスも進んだりすると、人と人との関わりというものが、より一層価値を帯びてくると思います。

介護の分野が介護ロボットでまかなえるようになると、人による介護サービスがとても高額のサービスになるであろうと予測できるように、建築の分野においても建築家やコンサルタントが自ら住民や発注者、利用者ニーズを汲み取り、その場で簡易な設計やワークショップをやることが、とても価値を持つようになると思います。

人と人との繋がりもより一層リアルの場で不要になってくる中で、山崎亮のようにコミュニティ形成などの仕事も価値を帯びるのではないでしょうか。

 

 

 

 

正確にまちの不動点を見極める力

不動点とは、まちの中でポテンシャルが特に高いところ、守り続けていかないとそのまちのアイデンティティが崩れてしまうところ、などと言い換えることもできます。

 

これは、自動運転や働き方の変化にも関係しますが、 AIが発達するとともに、自動運転車が台頭しはじめ、働き方もこれまでの常識が全く通用しなくなるくらい変わってくることが想定されます。

 

そんななかでは、本当に良い建築、まちが人々に選ばれるような世界になってくると思います。

だって自動運転車や在宅ワークが当たり前になったら、都心のゴミゴミしたところではなくて、通勤がラクになるから、ちょっと自然環境の豊かなところに住もうかってことにもなる人が大勢出てくるでしょ?

今は都心回帰の時代と言われてますが、数十年後はまた郊外が力を持っているかもしれません。

 

そんな世界では、今より都市間競争は激化することになると思います。立地が良いだけで成り立っていたまちはそのうち廃れていき、本当の意味で豊かなまち、面白いまちが選ばれるようになる。

 

そうなると、そのまちのアイデンティティを確保し続けるために重要なエリアや、逆にこのエリアを改革すれば、このまちの魅力向上に繋がる!!ってエリアを見極め、そしてそこを集中的に改革していくような力が必要になるでしょう。

 

という意味で、「まちの不動点を見極める力」が必要になるのです。

エリアを適切に改革していくためには、多様な人を巻き込み、適切にマネジメントしていくことが必要なので、「ディレクション能力」も必要ですかね。

 

 

建築以外の空間提案力

建築だけでなく、公園、道路、空き地、駐車場などの公共的な空間の提案能力や、自動運転車の台頭に伴い、いかに自動運転車を快適な空間にするかなどの提案能力が必要になってくると思います。

 

建築の人間はもはや建築だけをつくれてれば良いわけではなくなるのです。

多様な空間提案能力が求められる。

 

ただ、これも一人で様々な空間の設計、デザインができるようになるのには限界があるので、多分野の人たちと共創していくことが必要になるでしょう。そういう意味では、これにもディレクション能力」が必要になってくるように思います。

 

 

 

AIが発展する未来を考えるのはとても面白いけど、ぼくが高齢者になる頃には、おそらくAIがかなり台頭してきて、かつ年金生活が難しく、高齢者になっても働けるだけ働くみたいな世の中になってきている気がします。

 

そうなってくると、ぼくが50、60代のときに、いかにAIではできないであろう職能を身につけておくべきか。最近よく考えます。

 

これからもAIの動向に注視しておこう!そんな風に思うわけです。

 

ちなみにAI関連の本はこちらがおすすめ。

 

 

 

そんな感じ!

それではっ!