これを思い浮かべる人も多いかもしれませんし、そもそも米澤穂信って誰?って人もいるかもしれません。
ぼくがこの人を好きなのは、なんと言っても「人が死なない」ミステリーを書けるところ。
ミステリーって言ったら、大抵だれか死ぬイメージがあると思うのですが、この人の小説ではだれか死ぬということが少ない。まあ、たまに「インシテミル」みたいにめちゃ人が死ぬこともあるのですが、ただ、人が死なない物語を書いても、本格的なミステリー小説としてしっかりと作り込むことができる。そんなところが大好きな作家さんです。
さて、かれこれ大学生のときに米澤穂信という作家を知って、早9年くらい経とうとしているぼくが、これだけは読んでおいてほしい!って思う米澤小説を紹介しちゃいます。
まずは、米澤穂信と言ったら、このシリーズと言うくらい、ヨネラーの間では人気の2つのシリーズ!これは是非読んで貰いたい。
小市民シリーズ3作
日常のちょっとした謎を本格ミステリーにしたこのシリーズ。まさに人が死なないミステリー!
ちょっと甘くて、めちゃ苦い、そんな青春ミステリーに小説になってます。おすすめ!
春期限定いちごタルト事件
自身の本性によって手痛い思いを経験した中学時代を過ごしてきた船戸高校新1年生の小鳩常悟朗と小佐内ゆき。彼らは自らの性癖をひた隠し、「小市民」として日々の安寧を目指すため、困ったときには互いを言い訳に利用する互恵関係を築いていた。しかし常悟朗は、目の前に現れた問題事に対して図らずも抑えていた推理癖を発揮し、謎を解き明かしていくことになる。しかし、その中で小佐内の身には自転車が盗まれる事件が発生、その事件が思いもよらない形で2人を巻き込んでいく。
出典:wikipedia
夏期限定トロピカルパフェ事件
中学の苦い思い出から「小市民」になることを共通の目的を掲げた常悟朗と小佐内が船戸高校に入学してから1年経った高校2年の夏休み。小佐内とは互恵関係でありながらあくまで関係は学校内に終始していた常悟朗だったが、突如小佐内に誘われ、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉と称して地図と共にリストされた菓子店巡りをすることに。だが、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉を制覇しようとする中、健吾が私事で追っていた不良グループに小佐内が誘拐される事件が発生してしまう。
出典:wikipedia
秋期限定栗きんとん事件
小佐内が誘拐された「夏期限定トロピカルパフェ事件」をきっかけに、小市民を目指す目的を共有していた互恵関係を解消した常悟朗と小佐内。その後の2学期、常悟朗はクラスメイトの仲丸に放課後の教室で告白され、彼女と交際を開始。「バス内で降車ボタンを押し間違え、次の目的地に降りるのは老婆か女子高生か?」「仲丸の兄の住む部屋に侵入しながら何も盗まなかった泥棒の目的」と仲丸と過ごす中で浮かぶ謎に推理を働かせつつも、仲丸とのデートを楽しんでいく。
新聞部所属の1年生・瓜野高彦は、新聞部が発行する『月報船戸』が学内の決まった話題しか取り上げないことに不満を抱き、学外の話題を取り上げるべきと訴えていたが、部長の健吾に反対され続けていた。そんな中、瓜野は新聞部に出入りしていた小佐内に惹かれ、告白し小佐内と付き合うことに。そしてコラムという形で学外の話題を書ける機会が回り、瓜野は市内で断続的に発生している連続放火事件に着手、放火犯の犯行の法則を見つけた瓜野は「月報船戸」に次なる犯行現場予測を記載し、その予想を的中させていく。やがて生活指導部や新聞部内など周りに反発する声が無くなってきた瓜野は自分達の手で連続放火犯を捕まえようとする野心に傾倒するようになる。一方、連続放火事件に対して野次馬的興味しか抱いていなかった常悟朗だったが、小佐内の誘拐に使われた車が連続放火事件のターゲットとして燃やされたことから、事件と新聞部内の動きに小佐内の影を感じとり、自ら事件の解決に首を突っ込んでいく。
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春、夏、秋ときたら、冬!
ただ、冬期については未だいつ出るかもわかりません。
こちらの記事で米澤さんが明確に書くつもりだと言っているので、いつかは出ると思うのですが、、、
あーはやく冬期が出ないかなー!
古典部シリーズ5作
これまた日常の謎を本格ミステリーに仕上げた名作!シリーズのうち1作の「氷菓」というタイトルでアニメ化もされています。千反田さんがぼく好みの分、小市民シリーズより古典部シリーズがぼくは好きです。
氷菓
何事にも積極的に関わろうとしない「省エネ主義」を信条とする神山高校1年生の折木奉太郎は、姉・供恵からの勧めで古典部に入部する。しかし、古典部には同じ1年生の千反田えるも「一身上の都合」で入部していた。彼女の強烈な好奇心を発端として、奉太郎は日常の中に潜む様々な謎を解き明かしていく。やがて奉太郎とは腐れ縁の福部里志と伊原摩耶花も古典部の一員となり、活動目的が不明なまま古典部は復活する。
ある日、奉太郎はえるから助けを求められる。それは、彼女が元古典部部長の伯父から幼少期に聞かされた、古典部に関わる話を思い出したいというものだった。古典部の文集「氷菓」がその手掛かりだと知った奉太郎は、仲間たちと共に、「氷菓」に秘められた33年前の真実に挑むことになる。
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愚者のエンドロール
高校1年目の夏休みの終盤、古典部の面々は、2年F組の生徒が文化祭の出展に向けて自主制作したというミステリー映画の試写会へと招かれる。しかしその映画は、脚本家の体調不良で話が進まなくなってしまったことで、事件の結末が描かれないまま尻切れトンボで終っていた。
古典部は2年F組の入須冬実から、映画の犯人役を探し当てる「探偵役」を依頼される。映画の結末が気になるえるの一言で、古典部はオブザーバーとして、2年F組から志願した3人の「探偵役」の推理を検証していくことになる。最初は乗り気ではなかった奉太郎だが、入須に自身の資質を認められ本格的に推理に乗り出した。しかし推理の末に奉太郎は、映画の犯人探しに隠された本当の狙いに気付いていく。
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クドリャフカの順番
神山高校の年間最大イベントである文化祭が始まった。しかし古典部は手違いで、出品する文集「氷菓」を大量に作りすぎてしまった。文集を売るため方々に奔走するえる、文化祭を思う存分楽しみながら文集を宣伝する里志、大量発注に責任を感じながらも兼部する漫画研究会のギスギスした雰囲気に苛まれる摩耶花、静かに店番をする奉太郎。古典部員は大量の在庫に頭を抱えつつも、文化祭は進んでいく。
そんな中、校内では「十文字」と称する何者かが犯行声明を残して各部活から物品を盗んでいく、奇妙な連続盗難事件が起きていた。古典部は、この事件の最後のターゲットが古典部であるとPRすることによって部の知名度を上げて文集を完売させることを目指すが、その中、奉太郎は偶然入手した手がかりから「十文字」事件の謎に迫っていく。
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遠まわりする雛
古典部の高校1年1学期から春休みまでの1年間の出来事が描かれており、前作までは学内を舞台としていたが、本作では学園の外にまで活躍の幅を広げている。時系列順では「やるべきことなら手短に」「大罪を犯す」は『氷菓』の間の話であり、「正体見たり」が『氷菓』と『愚者のエンドロール』の間、「心あたりのある者は」以降は『クドリャフカの順番』以降となる。なお、著者は「収録作を時系列順にすることで登場人物達が互いに馴染み、心を開いている様子をきちんと描ける」と意図しているが、各短編の雑誌掲載時はあえて順番を入れ替えて発表している。
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古典部シリーズ初の短編集ですね。
ふたりの距離の概算
奉太郎達古典部も2年生に進級してからの5月末、神山高校で20キロメートルを走るマラソン大会、通称「星ヶ谷杯」が開催された。だが、その前日古典部では、新1年生の新入部員・大日向友子が本入部届提出直前となって入部を辞退する事件が起きていた。部室でのえるとのやりとりがきっかけにあるようだが、一緒に部室にいた奉太郎は一部始終を聞いておらず、さらに大日向は部室から去った後、摩耶花にえるは仏みたいな人だというような謎の言葉を残していた。この一件で大日向と向き合う決心をした奉太郎は、入部届締切日である「星ヶ谷杯」の20キロメートルを走る間、これまで大日向と関わってきた出来事を思い出しながら、大日向の心境の変化の理由を探っていく。
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と、このシリーズものを見れば、米澤さんがとても好きになると思います。まずはこちらを読んでみてください。その上でこちらの小説もオススメです。
ボトルネック
年前に死んだ恋人の諏訪ノゾミを弔うため、彼女が死んだ東尋坊にやってきた高校1年生・嵯峨野リョウは母から兄の訃報を聞き、葬式のために戻ろうとしたところ、東尋坊の崖から転落してしまう。だが、死んだと思われたリョウは自分の住む金沢で目覚めていた。自宅に戻るリョウだが、家には存在しないはずのリョウの姉・嵯峨野サキがいた。
サキとの会話の中で、リョウは自分が生まれていない世界に飛ばされたことを実感する。リョウはサキと共に自分のいた世界とサキのいる世界の相違を見つめる中で、自らの身に起きた出来事の手掛かりを探っていく。
出典:wikipedia
ブラックなファンタジーです。
めっちゃバッドエンド。
でもぼくが好きなパラレルワールドものです。
好き嫌いはわかれるでしょうが、いろいろと考察のしがいのある小説です。考察好きな人には是非とも読んでほしい一冊です!
折れた竜骨
ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年──そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!
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魔術が存在するという特殊な設定の中でのミステリー。うまいことその特殊なファンタジー系の設定の中にあってもしっかりと論理的な推理小説にしているところが、米澤さんのすごいところ。
*第1位 『ミステリが読みたい!2012年版』国内篇
*第1位 『2012本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング
*第2位 『このミステリーがすごい!2012年版』国内編
*第2位 〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 国内部門
とそうそうたるミステリーのランキング上位につけているだけはあります。
ミステリー好きの人は必読の一冊。
さよなら妖精
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。
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元々は古典部シリーズの1作として出す予定だったらしいです。
ですので、なんとなく作風は古典部シリーズと似ている。日常系のミステリーです。
けど、どこか古典部シリーズよりも切なさを感じる1作!
満願
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。 驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や 在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる 人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた 流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、 王道的ミステリの新たな傑作誕生!
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こちらの小説も様々な賞をもらっている秀作!
*第27回山本周五郎賞受賞
*第1位 2015年版「このミステリーがすごい! 」
*第1位 2014「週刊文春ミステリーベスト10」
*第1位 2015年版「ミステリーが読みたい! 」
全6作からなるミステリー短編集です。
現実にあるかもしれないと思わせるような、その絶妙な書きっぷりはさすがと言わざるを得ない。日常系からファンタジー系まで書ける米澤さんならではの作品。
王とサーカス
二〇〇一年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…。「この男は、わたしのために殺されたのか?あるいは―」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に遭遇する。二〇〇一年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、米澤ミステリの記念碑的傑作!
出典:Amazon
これもです。賞総なめです。
*第1位 『このミステリーがすごい!』 2016年版 国内編
*第1位 『週刊文春』ミステリーベスト10 2015年【国内部門】
*第1位 「ミステリが読みたい!」2016年版 国内篇
さよなら妖精にも登場した太刀洗万智が出てきて、米澤ファンはワクワクでしょう。
後味の悪さは、さすがの一言!
★★★
米澤さんはいろいろな角度から推理小説を書いていて、本当に飽きがこないのがすごいです。
まずはこの中からどれか手にとってみていただければ、きっとあなたも米澤ファンになるはず!
それではっ!