ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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多様性がクリエイティビティを生み出す

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「クリエイティブ」とは何か?ということを考えるきっかけがあって、ちょっと考えてみました。
 
まあ、クリエイティブという定義が難しいのですが、クリエイティブであるということは多様であるということなのかな。と思います。
 
 

日本はクリエイティブなのか?

日本の都市を見てみると、ある種「多様」のように見えます。
 
それは、いろいろなビルが乱立したり、首都高がダイナミックに入り乱れていたり、高層ビルの裏側に行くと急に木造住宅が密集していたり、、、
 
以前、東京駅から上野駅まで山手線沿いを歩いたことがあるのですが、景色の移ろいが劇的すぎて、本当に東京は面白いダイナミックなまちだなーと思いましたし、こういう都市をエキサイティングだということで好んでいたりする外国人の方って結構いますよね。
 
と、東京を少し持ち上げましたが、では東京はクリエイティブな都市なのか?というと、本当にそうか?と感じます。
 
 

東京というハードは雑多、そこに住む人は一様

というのは、上記で東京はある種「多様に」見えると書きましたが、東京は「多様」なのではなく、「雑多」な気がします。特に辞書での意味合いは調べてませんが、感覚的に。なぜ、そう思うかは後述します。
 
そして、東京に限らず、日本人。
 
我々日本人は、ライフスタイルが多様化していると言われてはいるものの、小中高大とまだまだ同じような人生を歩んでいたり、未だに一戸建てを買うことがライフステージのゴールのようなところがあったり、転職がしにくかったりと、まだまだ一様な気がします。
 
そう考えると、日本ってのは多様性に乏しいように感じる。
 
 

多様性ってどういうこと?

では、多様というのはどういうことか?と考えたときにぼくは、「ある共通の基盤の上にそれぞれの個性を発揮していること」が多様であるということだと思っています。
 
要は多様というのは、ただ単にバラバラというわけではなくて、根底に統一された何か、共通項的な何かがあって、その中でそれぞれの個性が活かされていることを指すのかなと感じます。
 
たとえば、江戸自体から残る古民家群とか、昔ながらの街並みはしばしば美しいと賞賛されるけど、あれは、ただ単に形態的に整っていてきれいだから、美しいと思えるかというとそうでもない。
 
よくよく見てみると、構造的には同じだけど、軒高や軒の出は微妙に異なっているように見えるし、開口部の意匠もそれぞれ個性があるようにも見える。そして、多くが職住一体の町家であることが多く、軒先でそこに住む人の営みが垣間見えることが多い気がします。
 
これは、形態的にはなんとなく整っているのだけど、実は職人それぞれの個性が随所に現れていて、多様な町家であるとともに、さらにそこで住む人が自分たちの個性的な営みをやっているから、魅力的な街並みに映るのだとぼくは思うのです。
 
 
★★★
仕事上、まちづくりや建築に携わっていますが、建築をつくる際も制約条件があってはじめて、何か面白いアイディアが出るということは往々にしてあります。
 
上で書いている「共通の基盤」、「根底に統一された何か、共通項的な何か」というのはこの「制約条件」にも通ずることがあります。
 
ただ、自由にやみくもに好き勝手に何かをつくることはクリエイティブではなく、こういう制約条件があり、そこで多様でいることがクリエイティブなんだと思います。
 
おしまい!