ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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建築を生業にしているからこそ、信じたい環境が与える人への影響

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以前書いた、以下の記事で、バリアフリーのことを通した色々な課題を書いたわけだけど、改めて「環境の力」っていうのは、ものすごい重要なものなんだなと当時のぼくは、卒論を通して思った。

 

www.3bouz.com

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個人的には、建築学科にいて、これが一番の収穫だったと思っている。

というのは、今の時代、自分が関わる生活環境を形作っているほとんどの要素は建築
その建築がどうあるかっていうのは人にものすごく影響を与えるものであるということが、肌感覚で実感できたからだ。

 


それまでのぼくは、大学での設計の授業とかで自分の設計したものをプレゼンする時

これはこうだから、今の社会問題である○○を解決するんです!

みたいなことを結構言っていたけど、実際建築ごときでそんな社会問題なんてものを解決できるかどうか、ということは本当の意味でよくわかっていなかった。

建築をつくる上で社会的なことを考える意味も本質的なところで実感できていなかったと今にしてみれば、感じる。

社会的なことを考慮しているように先生方にみせれば、何となく、自分が設計した建物が奥深くなるような感じがしたし、直感でつくったデザインをあたかも色々考えた上でつくりました的な言い訳みたいなものとして社会問題をプレゼンの一貫として使っていたのだ。

 

 

そんな中で、様々な施設に行き、見聞きしたことで、建築が人に与える威力というのを本当に身近に感じることができた。

論文を書くだけで、建築は形作っていないのだけれど、社会的な問題を考慮した上で建築がどうあるべきかということを真剣に考え、悩み抜いたいう意味で、今までで一番建築をやっていた気がした。

 

 

さて、社会人になって今更、このような卒論を通して感じたことをこのブログに書き込んでいるのは、なぜか?

 

この業界にいれば、みんな「環境の力」ってものを信じていると思っていたのだけど、環境の力を信じてない人によく会うのである。

 

それは、コスト面やら庁内調整の面倒さ、新しいことに挑戦することへの億劫さ、いろいろな要因があるのだけど、「いい環境をつくろう」という意志がほとんど見受けられない人がこの建築業界にも多くいるのだ。

 

そういう人に最近よく会うので、そういう方々に意見が流されないように、この記事は自分への戒め。

「環境の力」ってのは偉大だぞ!ということを自分に植え付けておきたかったのだ。

 

 

バリアフリーにあまりしないことで、高齢者の機能が改善したとか

住宅らしい雰囲気をつくることで、高齢者の認知症が改善されたとか

 

卒論を通して聞いたこれらは「環境が人に及ぼす力」というのはとてつもなくすごいものだということをほんの少し表した事象の1つでしかない。

 

空間的に居心地のよい住まいやまちで暮らすということは、それだけで、人の人生を左右しかねない。

 

今日、ぼくが仕事で大チョンボしたことも、巡り巡ってごみごみしたまちの汚さがいけないのかもしれない。

 

昨日、ぼくがとても心穏やかで過ごせたのは、お昼に行ったカフェがとても居心地の良かった空間だったかもしれない。

 

気づかないところで、空間はきっと人間に多大なる影響を与えている。

 

建築を生業にしているからこそ、このことだけは常に肝に銘じておいておきたい。


おしまい!