ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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『フェルドマン博士の日本経済最新講義』を読んで、地方再生を行う上で構造的な課題を理解しよう!

ほんと、地方再生に少しでも関わっている人は、まずこれを読んだ方がイイ!

 

 

ワールドビジネスサテライト等でもコンテーターとして活用しているフェルドマン博士。

 

どういう方かというと、こんな方。

アメリカ合衆国テネシー州オーク・リッジ出身。東欧ユダヤ系1970年AFS交換留学生として初来日。愛知県名古屋市南山高等学校にて学ぶ。イェール大学経済学日本研究学士)を経て、マサチューセッツ工科大学において経済学博士を取得。野村総合研究所日本銀行で研究業務、その後国際通貨基金IMF)勤務を経て、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券において主席エコノミストを務めた。

2009年現在、モルガン・スタンレーMUFG証券において日本担当チーフアナリスト及び経済調査部長を務める。他に、経済財政諮問会議に設けられた「日本21世紀ビジョン」専門調査会の「経済財政展望」ワーキンググループ委員も務める。

専門分野は、マクロ経済および金融構造論。

 出典:wikipedia

 

上にも書いてあるように、AFSという留学、国際・交流団体の交換留学生として南山高校に1年間いたらしいです。

そこで、日本のことに興味を持ち、大学や大学院では経済と日本のことを学び、日本で就職したみたいです。

 

そんなフェルドマン博士が、かなり客観的にアベノミクスの評価や現在のエネルギー政策、労働市場少子高齢化、地方再生等について言及しているのがこの本書。

 

中でも「地方再生」については、これから地方を再生したいと考えている若者は読んでおいて損はないはず!

 

というのも、「そもそも地方再生って何が課題なの?」や「なんで地方は衰退する一方なの?」ということが、人口や経済、政治的な面、などあらゆる角度から書かれてあるからです。

 

地方再生をしたいのであれば、「田舎を活性化しちゃうぞーわっしょーい!」っていうノリだけでなく、こういう構造的な課題を抑えておくのも重要のはず。

 

ってことで、ここでは、本書で学べる「地方再生」についてのアレコレをまとめます。

 

地方再生の課題は何か?

①エネルギー問題

ひとつは、エネルギーの問題だとフェルドマン氏は言ってます。

なぜならば、都会よりも地方の方が一人当たりのエネルギーを消費する量が多いからです。

 

考えてみると、地方では必ず車がないと生活できませんよね。都市部では、歩いて生活必需品が買えますが、地方だとそうもいかない。

 

今後、世界的にエネルギーの希少価値が上がっていけば、地方経済は不利になる。なので、エネルギーの効率をどうあげていくくかが、今後の地方再生における課題なんです。

 

②インフラ・行政のコスト問題

ふたつめに、インフラのコストを課題だとフェルドマン氏は挙げてます。

これも上と同様に、一人当たりの郵便局や小中学校、病院、道路の長さなど、地方の方があきらかに効率が悪い。

 

また、人口密度が低くなるほど、公務員の数も比率が上がり、公的コストも高くなります。

 

これらのインフラ整備や公的サービスをいかに効率化するかが課題です。

 

なかでも、フェルドマンは高齢化が進む地方においては、医療サービスを安く効率よく提供できるかが問われると言ってます。

 

 

なんで、地方経済は行き詰まってるの?

地方経済が行き詰まっているそもそもの理由を、フェルドマン氏はこう述べています。

 

結局は選挙制度に行きつくと思います。自立できる地方より、中央にいる政治家や官僚が地方政府のトップにお金を配れば、双方が都合のいい制度になっているからです。政界、訳書にとっては都合がいいが必ずしも市民のプラスにならない、という制度になっているからです。

出典:フェルドマン博士の 日本経済最新講義 

 

要は、中央省庁から地方交付税をもらえる今では、地方は国に甘えてばかりで、自分たちで何かやろうとは構造的にできなくなっているということです。

 

こうなってしまった原点は、マッカーサーの農地改革からきていると本書では書かれてありますが、この点については是非、本書を読んでみてください。

 

で、これを解決するには、選挙制度改革を行い、地方自治体の努力の度合いに応じて、お金が増える選挙制度に変える、一票の格差を正し、若者の投票率を上げることができれば、自立できる政治になるのでは?と述べています。

 

若い人の投票率については、ぼくもかなり重要だと思ってます。

選挙権がもらえる20歳になったばかりの頃は、あまり政治のこともわかっていない自分が適当に投票していいのだろうか?と思っていましたが、もうね、若い人はそれでもいいから、あみだくじでもいいから投票するべきだと思っています。

 

なぜなら、高齢者の投票率が高い今では、結局高齢者向けの施策ばかり政治家は重視するようになるからです。これが、高齢者と同じくらいの投票率になれば、若者に対する施策も重視せざるを得ません。

 

残念ながら、票田が少ない若者に対する施策を軽んじている現在においては、若者は、誰に投票するかよりも、とにかく投票率を高めるということだけが重要なんです。

 

で、この投票率を上げるには、ネット投票とかなんだとか言われてますが、フェルドマン氏は単純明快にオーストラリアやシンガポールのように「国民に投票を義務づけろ」と言っています。

 

ほんと、こうしてくれたら、いいんだけど、既得権益にかじりついている日本の政治にこの改革ができるのだろうか。。。とくに、選挙制度って全然手をつけてくれないからなー

 

 

地方経済の生産性を高めるには?

地方で有望な産業といったら、やはり農業!

ってことで、フェルドマン氏は、人口減少が進む中で、農業をいかに効率的に土地を集約させ、農業機械を効率的に使い、生産性を高めていくかが、重要だと述べています。

 

また、次にエネルギー産業も地方再生の鍵になると述べています。

要は使われていない土地にソーラーや風力発電のために使い、その地方の電気代を下げたり、新しい産業をを誘致する、農業と合わせた新しいビジネスなどを考えることができると、経済は発展するのではないかと言っています。

これはもちろん、ソーラーや風力発電のエネルギー技術がより改良されたらの話ですけどね。

 

また、高齢者福祉の面でも、IT、高齢者介護用のロボットの技術が確立されれば、地方のビジネスチャンスにもなりうるのではないか、と言っています。

 

時代の変化や技術の進歩をいち早く、応用していく。今後、地方に求められてくるのは、こういうマインドなんでしょうね。

 

 

★★★

さてさて、どうでしたでしょうか?

 

ここに書いたのは、フェルドマン氏の主張のほんの一部でしかありません。

冒頭でも書いたように、地方再生のこと以外にも、いろいろなことについて触れられている本書。

 

ぜひ、読んでみてください!