ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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横須賀・逗子の旅。山本理顕が設計した横須賀美術館に行ってみた。

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出典:横須賀美術館 - Wikipedia

 

その日は大雨のはずだった。


その日、世間では台風12号が明日か明後日かに関東に上陸する恐れがあると騒がれていて、ネット上では「相変わらず、東京はいちいち台風に反応し過ぎじゃないか」というような意見がちらほらと飛び交っていた中、ぼくは米軍基地の街「横須賀」そして、「逗子」に泊まりがけで行く予定であった。



そもそも、ぼくは台風が関東に直撃した日にちょうど生まれた男として、「雨男」と家族には罵られているのだけど、まったくもってそんなことはない。この場を借りて、訂正させてもらいたい。


実際、冒頭で書いたように、降水確率が80%、大雨の「はずだった」その日の天気は、一滴も雨が降らず一日を終えることになる。母さん...、僕を嵐の日に生んだ貴方が「雨女」だったんじゃないのですか?


そんなこんなで、横須賀美術館にまず向かった。


横須賀と言えば、米軍基地!というイメージがあるかもしれないが、建築系男子としては「横須賀美術館」。まずは、この美術館を見なくして、横須賀歩きは始まらない。

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設計は山本理顕氏。久しぶりに、都心から離れた美術館に訪れることができた。個人的な印象ではあるが、都心にある美術館は表層的な設えばかり凝っていて、中の構成はどこも似たり依ったりなことが多く感じるのだが、こういった少し都内から足を伸ばすと、結構細かいところまで凝っている美術館に出会える気がする。都心の美術館がそうなってしまっているのは、おそらく経済的な要因からなのかな?


と、まあそんなことを思いながら、胸踊らせ、中に進んでみると、なるほど期待を裏切らない面白い美術館だった。個人的に気になったところを下に挙げてみる。

 

 

点字ブロック

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いきなり、超マニアック!

街中でよく見る黄色い点字ブロック。ここでは、周りの道の色と合わせて白色でまとめている。

 

近年、黄色い点字ブロックが景観的に良くないということで、周りの舗装の色と合わせる例が多く見られる。一方で、それは弱視者に配慮していないんじゃないのか?という批判がみられるみたいなんだが、聞いた話だと、あまり黄色にしたところで弱視者には大して関係していないという論文が書かれているそうな。

 

その真意はまだ確かめきれていないが、経験的に海外の点字ブロックは舗装に合わせて作られているものを多く見かけることを考えると、とりあえずどこからも文句が出ないように無難なものを作ろうとする日本人の気質が、黄色にすることが本当に弱者のためになるのかということを裏付けも取らずに、ただ何となく黄色にしているのではないのか?と勘ぐってしまう。(とんだ誤解だったらすみません)

 

 

エントランス!

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美術館内部に入るとこんな感じ。エントランスロビー的なところ。


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この丸い穴は、見るところから見ると、目の前に広がる海を切り取って見えたりする。

 

 

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出典:のらりくらり.com


これだけでなく、階段、トイレ、ロッカーなどへの案内はすべてこのような可愛いピクトグラムになっていた。女の子なら、「きゃあぁぁぁ、これ可愛い///」とか言ってしまうのだろう。

 

それを横目で見て、僕は「君の方が可愛いよ」とか言ったりして、そこで女の子がきゅんってしてしまい、美術館に併設されている海が見えるレストランで、一緒に食事をして、美術館近くにある海辺のホテルで一夜を共にするっていう壮大なストーリーをこのピクトグラムは喚起してくれた。

 

 

空間構成!

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中には図書館も併設されており、美術館から図書館に至る通路がこれ。未知への世界へと続いているような、わくわく感を感じる。。。かもしれない。


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この通路は2Fにあるのだが、ここから1F、B1Fの展示室の一部が見える。基本的に美術館の展示室といったら、他の空間から隔離されていることが多いが、ここでは、それをあえて高さを利用し、他の空間と繋げている。

 

「展示室はお金を払わないと見られないように、閉鎖的な空間にする」という固定概念に捕われずに創られている感じがした。


こうして、美術館を堪能した僕は、横須賀の中心部に向かうのだった。

 

横須賀・逗子の旅はまだまだ続いたので、今後続編を書く予定!