アートとデザインの違いについて、皆さんわかりますでしょうか?
アートの業界にもデザインの業界にも関わりのない人は、この辺をごちゃ混ぜに考えている人が結構いて、困ります。
ってことで、平たくアートとデザインの違いについて解説しちゃいます。
これがアートね。
出典:中二病をくすぐられれる! 針金で作った人体アート!! 10選 | エニグム(ENIGME)
で、これがデザイン
もう一度。
これがアート
出典:中二病をくすぐられれる! 針金で作った人体アート!! 10選 | エニグム(ENIGME)
そして、これがデザイン
出典:YAMASAKI DESIGN WORKS/トライアングルクリップ - 文房具 - 通販カタログ - スタイルストア
わかりますか?
アートは表現、デザインは機能美
要は針金を使って何かを表現しているのがアートで、針金を使って「紙をまとめる」ということにおいては、最適な形を形成しているのがデザインなんです。
ただ、「紙をまとめる」ということだけであれば、針金を使ってもっと別の形が考えられたかもしれません。けど、それだけではなく、如何にカッコよく、可愛く、そしてシンプルに使いやすくするかということを考えた時に中々これ以上の形態は思い浮かばないと思います。
これが、デザインなんです。
まさにアートは表現!デザインは機能美です!
アートは多義的、デザインは一義的
見る人によって捉え方が異なるのがアート、見る人全員に「こう見て欲しい!」という確固たる意志があるものはデザインなんです。
冒頭に挙げた、これ。
出典:中二病をくすぐられれる! 針金で作った人体アート!! 10選 | エニグム(ENIGME)
見る人によっては、
天界から干された堕天使に見えるかもしれませんし、
世界を混沌の渦へと巻き込む魔王に見えるかもしれません。
捉え方は人それぞれなんです。
一方でこちら、クリップ
明確に紙を挟むために使って欲しいという意志があります。それ以外の使い方は全く想定していない。ただ、「紙をまとめる」ためだけに存在する。それがクリップであり、こうした作成者(デザイナー)側の意図があって理論的に構築されているものがデザインなんです。
アートは右脳、デザインは左脳
要は、アートは割と右脳中心につくられがちで、デザインは割と左脳中心でつくられがちなんですよ。
アートは、内から迸る何かを表現するためにつくられたものであり、いわば感覚的につくられたもの。
一方でデザインは、結構論理立ててつくるし、今まで見たことがない新しいものをつくるというより、これまでの世の中のあらゆるデザインを組み合わせてできるわけ。
先日書いた以下の記事でも書いたように、世界的デザイナーの佐藤オオキも割と左脳使っている印象でした。
たとえば、 佐藤オオキのデザインをする上での思考方法の1つとして、こんなのがありました。
たとえば、制約が10個あったら順番に1個ずつ落として、まず9通りにします。1番を落としてみて、2から10を大事にして考えてみる。次は2番を落としてみて、1と3から10は大事にしてシミュレートしてみる。そうやって考えていって、アイディアをどんどん出していくんです。・・・(中略)・・・結果、1個落とすだけでこんなにいけるのなら、この条件を落としても成り立つんじゃないか、など当初は思ってもいなかった解決策が生まれます。
出典:問題解決ラボ
かなり、左脳を使っているような論理的な作業のもと、デザインしているって感じしないですか?
もちろん、そのような論理的な作業の中にも、ある種の感覚的なひらめきがあって、初めてデザインの優れたものができますが、ベースは左脳を多く使っているような論理的な作業をすることがほとんどです。
もともと、佐藤オオキも理系の建築学科出身。そりゃ、左脳的なアプローチになりますよね。
アートは自分を意識、デザインは相手を意識
アートは自己を表現するもののため、 基本的に意識は自分に向いています。
一方で、デザインが意識するのは自分以外の相手。つまりはエンドユーザーのことを考えてつくります。
かなり、時代の流行に敏感でなければならないし、相手の使いやすさ、見やすさなどを意識してつくります。そして、時代が求めているもの、クライアントが求めているものをつくります。
アートも時代の流行に合わせて、売れるアートをつくるってこともあるとは思いますが、アートの本質としては、自己の表現。これに尽きます。
そして、デザインとは違って、時代が求めているとか求めていないとか関係なく、何かを表現するためにつくるものです。それがアート。
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さてさて、アートとデザインの違いはこんなところでしょうか。
佐藤オオキの思考方法を覗いて見たいって人はこちらの本を読むと良いですよ!
それでは、おしまい!