ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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地域再生にも役立つ視座を与えてくれる『プロジェクト・デザイン・パターン』は今すぐ読んでおこう!

f:id:kotaro_qiq:20160503201745j:plain今をときめくUDS株式会社の創業者・現会長の梶原文生さん著の『プロジェクト・デザイン・パターン』はおすすめですよ!
 
 
 
 
 
このUDSって何?って方はいらっしゃるかもしれませんが、最近つくられた、いろいろなオシャレなホテルや商業施設の企画や設計を見ると、「あれ?またUDS!」ってくらい、オシャレな会社です。ん〜!!痺れる!憧れる!!
 
たとえば、こんな建物の企画だったり、設計だったりをされています。
 
 
 
 
 
 

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Photo credit: 田村 via Visualhunt.com / CC BY-NC-ND
 
 
オシャレなところ企画しているでしょ?
 
この会社の会長である梶原さんが、慶応大でパターン・ランゲージの研究をしている井庭崇准教授と共著で、「企画の」パターン・ランゲージをまとめあげています。
 
パターン・ランゲージってのは、建築家クリストファー・アレグザンダーが考案した「良いデザインや良い実践の秘訣を共有するための方法」のことです。
 
基本的には建築をつくるにあたって、最低限の質を担保するためにつくられたこの方法ですが、企画においても梶原さんのこれまでの様々な経験から企画パターンを32個まとめています。
 
結局、企画というのは、天才的なひらめきよりも、様々な思考パターンの応用だと思うので、企画の思考方法を32個にまとめている本書は、今後仕事で何かしらの企画を考える上で、重要な視座を与えてくれると思います。
 
 
さて、そんななかでもぼくが気になった企画パターンをいくつかピックアップします。
これ、どう地域再生すれば良いかなーと考える時にもかなり有用な思考パターンだと思います。
 
 
 
 

隠れた良さ

その場所の特性や歴史に合わない「新しいもの」を外から持ち込んでも、そこになじまないものになってしまう。・・・(中略)・・・その場所の特性や歴史を調べ、今は注目されていない良さを掘り起こして、それを踏まえた上で新しい価値をつくる。
 
 これはよく言われることっちゃ、言われることですね。
 
けど、重要な視点のひとつ。
 
たまに、発注者や行政によっては、全くもって新しい概念を持ち込もうとするからびっくりすることもあるので、地域再生に取り組む誰しもが頭の片隅においておきたいパターンのひとつだと思います。
 
ただ、これまでと同じことをやっても、しょうがないので、「今は注目さていない良さ」や「ありそうでなかったもの」、「言われてみると、それが欲しかったかも」ってなところを突いていくのが大事なんだと思います。
 
簡単に書いたけど、それが難しいんだよ。うん。
 
 
 
 

アイディアの重ね合わせ

ひとつの方向性だけから企画の価値を作り込もうとしても、突出した独自性を出すことは難しく、競合との差別化を図りにくい。・・・(中略)・・・複数の方向性のアイディアを重ね合わせ、独自の価値をつくりあげる。例えば、単なるホテルではなく、サービス・アパートメントやギャラリー、サービス・オフィスなどを複合して「クリエイターが集う場所」という概念をtくることで、新しい企画を生み出すということである。
 
地域ではいろいろな課題があります。
けど、その課題をそれ単体で捉えると手詰まりになることが多々あります。
 
たとえば高齢化による高齢者の見守り。これが地域の課題だったとしましょう。
 
もし、これが単なる「高齢化」ということだけで考えてしまうと、あらゆる高齢者のサービスやNPOとの連携や地域の元気高齢者の協力などを考えてしまいます。
 
けど、一歩引いて考えると、宅配業者やタクシー業者と連携して、これらの事業者の力を借りて、見守りをしようといったアイディアが出てくるかもしれません。
 

 

事例1 生活支援 見守りサポート |ヤマトホールディングス

 

高齢者の問題は高齢者サービスの中だけで考えず、高齢者以外のサービスと連携することで解決しようというのは一種のアイディアの重ね合わせだと思います。
 
 
 

愛着が生まれる余地

初めから隙なくつくり込みすぎてしまうと、受け取った相手が企画について考える余地がなくなり、一方的なものになってしまう。・・・(中略)・・・企画の骨格はしっかりとつくりながらも、相手がアイデアを盛り込んだり選んだりできる余地をきちんとつくっておく。・・・(中略)・・・そして、相手からこうしたいという思いが出てきたら、その気持ちを盛り上げ、柔軟に取り入れながら、企画を詰めていく。
 
人間においても、隙がない、完璧超人はすごいと思う反面、ちょっと怖いですよね。
 
iPhoneもディスプレイを保護するシートや本体を保護するカバーが最初からついていないのは、カスタマイズをする余地を与えているからという理由と、カスタマイズをしなくとも、ディスプレイを拭いたり、少し本体に傷がついてしまうことが愛着につながると考えているからという理由があると聞いたことがあります。
 
発注者や住民をしっかりと企画に巻き込む。
 
これをいかにうまくやっていくかが、地域再生においても重要!
 
 
 
 

取り入れたい梶原さんの取り組み

①自分の強みを100個書き出す(徹底リスト)&点数化

まずは、自分の強みを100個書き出す。
 
そして100個挙げた強みに対して、それぞれひとつずつ10点満点で点数化をすることで、自分なりの強みを明確にするという取り組み。
 
100個ってヤバいな!?
 
でも今度やってみます!
 
 
 

②目標にする3人を決める

◯ ◯ ◯ という面では誰々。
 
って感じで、ある一面においては参考にしたい3人を決めて、その人みたいになるにはどうするか考えるというもの。
 
これをすることで、自分の目指したい未来像が具体的になり、どのような時間をすごすべきか見えてくる。
 
そして、3人決めることで、誰かひとりを真似した劣化コピー版ではなく、複数人を良いところを掛け合わせた貴重な存在になれる。
 
うん。これもやろう。
 
おそらく、この3人は、できるだけ身近で、その目指したい一面をよく知っている人が良いんだろうな。著名人ではなく。(本書には明確にどんな人を挙げた方が良いとは書いていませんでした。)
 
 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
 
企画の思考パターンって、建築だけでなく、あらゆる仕事に応用できることですよね。
 
なので、万人におすすめ!
 
そんなところで。
おしまい!