ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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涙腺崩壊マンガ『四月は君の嘘』。普段マンガで泣かない僕が泣いた!

アニメで四月は君の嘘を視聴して、ヤバイ感動したのも早1年以上も前の話。

 
ゴールデンウイークが暇すぎるので、マンガも全巻買ってみました。
 
 
 
 
いや、アニメを全て見たので、あらすじは全て知っていたのですが、知っている状態でマンガ見ても泣けました。あんまマンガで泣くこと少ないのに、泣きました。何なん、これ。傑作すぎるやろ。
 
 
全11巻。ジャンプ的な変な引き延ばしもなく、こんくらいのボリュームでまとめきる方が名作!って感じがします。
 
 
また、基本的には絶賛されていますが、一部不評の声もあるのがこのマンガの特徴。ただ、賛否両論があるのも、また名作に多い特徴ですよね。
 
 
以下、軽くネタバレ含みますのでご注意を!
 
 
 

あらすじ

ここで、四月は君の嘘を知らない方のために、あらすじを。
 
 かつて指導者であった母から厳しい指導を受け、正確無比な演奏で数々のピアノコンクールで優勝し、「ヒューマンメトロノーム」とも揶揄された神童有馬公生は、母の死をきっかけに、ピアノの音が聞こえなくなり、コンクールからも遠ざかってしまう。 
 それから3年後の4月。14歳になった公生は幼なじみの澤部椿を通じ、満開の桜の下で同い年のヴァイオリニスト・宮園かをりと知り合う。ヴァイオリンコンクールでかをりの圧倒的かつ個性的な演奏を聞き、母の死以来、モノトーンに見えていた公生の世界がカラフルに色付き始める。
 かをりは、好意を寄せる渡亮太との仲を椿に取り持ってもらい、渡と椿の幼なじみのである公生とも行動を共にするようになる。公生はかをりに好意を抱くようになるが、親友である渡に気を遣って想いを伝えない。椿は公生のかをりへの恋心に気付き、また自身に芽生えた公生への恋心にも気付き苦悩する。かをりは、公生のことを友人Aと呼び、ぞんざいに扱いつつも、自分の伴奏を命じるなど、公生を再び音楽の世界に連れ戻そうとする。また、かつて公生の演奏に衝撃を受けピアニストを目指すようになったライバルの相座武士や井川絵見にも背中を押され、公生は再び音楽の道に戻っていく。
 
 
 
 

四月は君の嘘のここがスゴイ!

①先が読める展開なのに、次々と読み進めてしまう圧倒的構成力

ぶっちゃけ、四月は君の嘘というタイトル、そして序盤の方に出てくる伏線。
 
勘がまあまあ良い人にとっては、結末が読めてしまいます。なのに、このマンガは読み進めずにはいられません。
 
 
基本的に、ズイズイと読み進めてしまう時って、次の展開が読めなく、気になってしまうからこそ、読み進めてしまうってことの方が多いと思うのですが、このマンガは結末がわかっているのに、読み進めてしまうのです。
 
それは次の展開が気になるというより、単純にマンガに引き込まれるからなんです。綺麗な絵、ストーリーの展開、音楽的な表現、詩的な台詞回し(ここは賛否分かれているところですが)からなる、この素晴らしい「君嘘」という世界から離脱したくない。そう思わされる作品です。
 
 
 

②音楽表現がえげつない

ONE PIECEの作者尾田栄一郎がこの作品を以下のように評しています。
 
面白い漫画を時々読みたいので、ネットでたまに「面白い漫画」を調べて読みます。時間もないし、たいがい1、2巻で、なるほど、と読むのをやめるんですが。締め切り前でちょっと気分転換のつもりだったのに全巻読んでしまってこっちが原稿落とす所でした。グイグイ引き込むんじゃないよ!冗談じゃない!!
 
雰囲気のある1カット。映画やイラストで時々日本人が見せる独特の距離感。次のコマに目をやるのがもったいないくらいイイ。
 
聞こえる音楽。漫画が最も苦手なジャンル。「音楽」の表現がまあ見事。
出典:一流が嫉妬したスゴイ人(2015年12月29日 フジテレビ放送)
 
 
 
あまりクラシックのことはよくわかっていないのですが、このマンガでは、激しめな曲調の場合は台詞がとてもテンポ良く、コマ割りも次々と移り変わってリズミカル。一方で大人しめな曲調の場合は、読み込ませるような台詞回しだったり、コマ割りもなんだかゆったり、大きめにつくっている印象を受けました。
 
もちろん絵的にも音楽のことを表現していますが、台詞やコマ割り、あとは聴衆のリアクションなど、細かな点でも音楽の表現につなげている。素晴らしいの一言です。
 
 
 
 

③全くキュンキュンしない恋愛

はじめに言っておくと、褒めてます。これ。
 
なんというか、もうキュンキュンっていう感情を超えるんですよね。このマンガの恋愛模様を読んでいると。
 
もうね、心が散り散りに砕けそうになるんですよね。
 
基本的に悲劇に向かうことが予想されるなかで、読んでいるからなのかもしれませんが、全く安っぽいキュンキュンさはなく、もっと心の深いところが抉り取られるような、そんな恋愛模様が繰り広げられます。
 
 
 

④余韻がいつまでも続くラスト

あぁぁぁあああ!もう、ラストについてはネタバレすぎるから書こうと思ってなかったけど、書きます!
 
結末を知りたくない方はこれ以上見ないように。
 
 
 
 
 
 
ラスト、かをりは手術が上手くいかずに亡くなるわけですが、このラストの東日本コンクールの公正の演奏がもう泣ける泣ける。
 
そして、公正の演奏中の以下の言葉。
 
 
「これは母さんがくれた音」
「渡が気づかせてくれた音」
「椿が見つけてくれた音」
「相座や井川さんと競って生まれた音」
「これは相座さんと一緒に作った音」
「これは紘子さんが思い出させてくれた音」
耳をすませば、僕はたくさんの音で溢れている」
 
 
お母さんの死で公正は音が聞こえなくなったけど、かをりとの出会い、そして死を通して、公正は音を取り戻すことができました。それも無味無臭な音ではなく、カラフルに色づいた音。
 
明確に「耳が聞こえるようになった!」っていう描写ではないんだけど、このマンガは大切な人の死を通した公正の復活と再生物語でもあったと思うから、きっとそういうことなんだろうと、ぼくは思います。
 
 
この結末においては、ハッピーエンドを期待していた読者もいたでしょうから、賛否両論だと思います。
 
ただ、いずれにしろこのラストは、めちゃ余韻が残ります。読んだ後、しばらく放心状態。
 
ヒロインを潔く死なせた、というのはかなり勇気のある行為だなーと思うし、死んだからこそ名作になったとぼくは感じました。
 
 
 
 
 
 なんか小説もあるじゃないの!
 
 マンガでは描かれなかったかをり、渡、椿、絵美、相座のエピソードを収録しているよう。
 
こっちも読みたくなっちまうな!
 
とにかくおすすめ!
 
 
おしまい!