ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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映画ビリギャルが超絶泣ける

数ヶ月前、かなり話題になっていて、何を今更と思われるだろうが、かろうじて上映していた映画館でビリギャルを見てきて、超絶泣いた。ひとりで。

 

20代後半の男性がひとりで映画館に行き、女子高生のサクセスストーリーを見て、映画の上映時間の半分以上を目に涙を溜め、鼻をすすっていた。なんと気持ち悪いことだろうか。隣に座っていた、中高生の子、ごめん。

 

ただ、この映画。ただのサクセスストーリーではないのだ。(これ以下は、ネタバレも多少含まれるので注意。)

 

大学受験経験者は必見。涙なしには見られない。

大学受験をそれなりに頑張った人は、この映画を見たら、大体が泣いてしまうのではないだろうか。

 

これ見て泣けない人は、きっと大学受験を必死でやってこなかったんだ。きっとそう。

 

勉強描写や受験描写はまあ映画なので、エンターテイメントなので、そこまで丁寧に描かれているわけではなかったけど、勉強をやり始めた当初のぐんぐん成績が伸びて、「あれ?意外と勉強って楽しんじゃん」って感じから、次第にスランプに陥り、成績が停滞してしまい、やる気がなくなってしまう感じ、そして模試で志望校の合格判定Eが続き、諦めかけてしまう感じ、、、この流れはまさに自分の時の大学受験と同じで、きっと多くの人も共感を覚える流れなのではないだろうか。

 

そうして、志望校の合格判定Cをとった時、涙腺が崩壊した。そうそう、これこれ。これ以上できないくらい目一杯努力して、俺めっちゃ頑張っていると自分で自分を鼓舞しながら、勉強を続け、C判定をとった時の、あの日の僕の気持ちが蘇ってきた。泣いた。

 

結局、僕は第一志望の大学に合格することはできなかったのだけれど、あの大学受験を精一杯やり抜いたことは人生の財産になっている。

 

その財産というのは、「頑張る」。この定義が人それぞれ異なるであろう言葉のレベルが、大学受験を通して、かなり高水準のものになったと思っている。

 

つまり、人より「頑張る」と言えるレベルが高めになった。そして、大学受験を通して、新しいものを知り、世界を広げる楽しさを学んだ。この2つはものすごい財産だと思っている。

 

自分が持っている財産に改めて気づかせてくれ、そして頑張ろうという気持ちにさせてくれる。そんな映画だった。

 

今後、このような大学受験はなくなってしまうのだろうか。

一方で、少子化のために受験者数が一気に減っていく「2018年問題」。

 

そして、新たに文科省が提唱するアクティブラーニングと、この教育制度の導入を皮切りに改革されるであろう大学入試。

 

これらのことについて最近とても興味があって、関連本を読んでみたいと思っているのだが、このような教育制度の導入、大学入試改革、そして少子化による受験者数の減少、それに伴う競争率の低下によって、この映画のような大学受験模様ははるか彼方の前近代的なものになってしまうだろう。

 

僕らの子供がこの映画を見たら、「え?なにこれ?ちょーウケる」って感じで感動映画でもなんでもなくなるかもしれない。

 

そう思うとちょっぴり切ない。そんなことも映画を見終わった後に感じた。

 

褒める、信じる、大切さ

母親と坪田先生、この2人はビリギャルを褒める、信じる力がとてつもなくすごかった。実際どうだったかは知らないけど、映画を見る限りすごかった。

 

僕も塾講師を2年ほどやっていた時期があったけど、あれほどのギャルの生徒を褒めるなんてなかなかできない。テストで0点をとって、ふざけた答えなんて書かれた日には、先生の方がどんどんやる気がなくなっていく。

 

映画に出ていた高校の先生はビリギャルのことを「クズだ、クズだ」と連呼していて嫌な奴だったけど、あれはやりすぎにしても、割とこうなってしまうものだと思う。生徒を信じたいけど、まず向こうから裏切ってきたのだ。そんな思いに駆られてしまうように思う。

 

そんな子を、褒め続ける。特に高校生の子なんて、嘘で褒めていたらすぐにわかってしまうから、心底心に思っていないと、なかなか褒めても信用されないと思うのに、それができて、信頼されるのだから相当すごいと思う。

 

ただ、一点気になったのは、映画のなかの坪田先生は、最初の方は割と褒めて、褒めまくっていたけど、中盤からは「近代 史が絶望的だね〜」、「この範囲、壊滅状態だね〜」と結構きついことも言っていたりする。

 

このあたりの(褒めることと毒を吐くことの)按配にどのような理論があるのか、(ただ映画だからあまりその辺りは気にしていなかったのかもしれないが)ちょっと知りたいと思った。

 

その辺りの教育哲学的なことが書かれてある坪田先生の本があれば読んでみたかったのだが、この人ビリギャルしか本は出していない模様。残念。

 

ビリギャルの本は、読むとせっかくの映画の感動が薄れそうな恐れがあるので、とりあえず読まないことにする。

 

読むならこういう本だろうか。

 

 

 

 

とにかく、褒める技術ってのに興味が湧いてきた。

 

最後に、塾に一緒にいた金髪の男の子れいじ君。彼は名古屋大学を目指していたらしいのだが、最終的に大学は落ちて、浪人の道を歩むことになっている。

 

この女の子とはしれっと受かって、男は落ちてしまうって感じ。これが一番リアルだった。すごいリアル。

 

ただの流行りに乗っかった映画かと思いきや、とても面白い映画だった。