ものまちぐらし

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設計事務所で働く、都市計画コンサルタント兼一級建築士。まちづくりのことや激務の中でのちょっとした生活の楽しみについて書いてます。

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まちづくりに関わる者全てが読んでおくべき「地方創生大全」(木下斉 著)

 

相変わらず、ズバズバと現状のまちづくりの現場の問題を切っていく語り口は爽快!とともに、コンサルタントのぼくは、木下さんの言うような「名ばかりコンサルタント」にならないように気をつけたいものです。

 

はい。

この、地方創生大全という本。

これは、まちづくりに関わる人には是非とも読んで欲しい。

というか、新入社員はまずこれ読んで!

 

 

木下 斉とは?

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一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事内閣官房 地域活性化伝道師、熊本城東マネジメント株式会社代表取締役一般社団法人公民連携事業機構 理事。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、経営学修士。専門は経営を軸に置いた中心市街地活性化、社会起業等。

2000年、高校時代に全国商店街の共同出資会社である商店街ネットワークを設立社長に就任し、地域活性化に繋がる各種事業開発、関連省庁・企業と連携した各種研究事業を立ち上げる。この時期よりブログ「経営からの地域再生・都市再生 ( http://blog.revitalization.jp )」を開始。その後、大学に進学し、経済産業研究所リサーチ・アシスタントや東京財団のリサーチ・アソシエイト等を兼務。2008年より熊本市を皮切りに地方都市中心部における地区経営プログラムの全国展開を開始。事業による地域活性化を目指す全国各地のまちづくり会社、商店街と共に2009年に一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス設立。2010年には内閣府政策調査員を務めるなど、政策立案にも取り組み、2012年からエリア・イノベーション・レビュー( http://air.areaia.jp/ )を毎週発行し、必要な政策提言や失敗事例集などの発表を行っている。さらに2013年からは公民連携事業機構を発足、2015年から公民連携プロフェッショナルスクールを開始している。

■主な役職
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事
一般社団法人公民連携事業機構 理事
熊本城東マネジメント株式会社 代表取締役
勝川エリア・アセット・マネジメント株式会社 取締役

■アドバイザー/委員等
内閣官房 ふるさとづくり有識者会議
内閣官房 地域活性化伝道師
総務省 地域人材ネットメンバー
経済産業省コミュニティ・プロデューサー
都市機構 まちづくり専門家
財団法人地域活性化センター 地域づくり人材データバンク
など

 引用:Amazon.co.jp: 木下 斉:作品一覧、著者略歴

 

まちを「経営」という視点でとらえ、様々な提言をされている方です。

建築出身のぼくは、この「経営」という観点が弱く、いつもこの人の話は勉強させられるとともに、実際にまちづくりに関わっている者としては、耳が痛い話をしてくれる方です。

 

さて、そんな方が書かれた、この「地方創生大全」

どんな話なんでしょうか?

 

 

本の内容

本書ではざっくりいうと、以下の5つの視点から地域の構造問題について整理されています。

 

①ネタの選び方

地域での取り組みが失敗する要因としては、まずはこれ!

最初から取り組む「ネタ」が間違っているんです!(本書ではB級グルメゆるキャラなどを例に挙げていました)

 

また、成功したとしても、いろいろなところから視察(しかもタダで!)に訪れられて、そこで疲弊して、どんどん取り組みが衰退していくという、笑えない事例も紹介されていたりします。

 

一過性の注目を集めるのではなく、

・地味でも着実に積み上げること

・地元経済の現実と改善にしっかりと向き合うこと(補助金に既存した無理な収支計画を立てない)

・つくる前に営業をすること

・トライ・アンド・エラーを繰り返し、軌道修正を適宜図っていくこと

・自ら情報発信して、関係ない人から疲弊させられないこと

 

などが必要だとまとめられていました。

 

②モノの使い方

地方では、本当にそれ必要?ってくらいの規模の建物を補助金使ってつくられたりしていて、全く初期投資が回収されないような計画になっています。

まず、これどうにかしないとね!ってことが本書では書かれてます。

 

これについては

・民間の力を適切に使うこと

市場経済のルールにのっとって稼ぐことを考えること(イニシャル、ランニングコストとコンテンツによる売り上げとのバランスを考える)

・小さくはじめて、少しずつ大きくしていくこと

 

などが必要だとまとめられています。

 

③ヒトのとらえ方

もうね、人口減少なんですよ。世の中。

なのに、どこのまちも「人口増!子育て世帯増!」とか言ってるわけです。

それは、この仕事してて、本当にどこのまちも言ってます。

人口を増加させるということは、それだけの人たちを食べさせられる産業をつくることが必要であり、さらに言えば、その産業を担う人材を増加させるということを本来的に議論しないといけないんです。

 

また、「交流人口」、要はそこには住んでないけど、観光しに来たり、買い物来たり、イベントに参加したりっていう、訪れる人の数を増やそう!って話も、実際は訪れる人の数よりも、まちでその人たちがどれだけ消費してくれるか?という視点の方が大事なわけです。

 

なので、人口減少しようが、

・人口減少を前提とした取り組みを考え、生産性を向上させる

・人を集めるというか、いかに消費させるかを考える

 

なんてことを考えよう!と本書では書かれています。

ぼくがこの話で思い出したのは、「創造的過疎!」と言っている徳島県神山町

tokushima-iju.jp

 

ワーク・イン・レジデンスなる取り組みをされていて、以下のようなことをキーマンである大南さんがおっしゃっています。

神山町の将来にとって必要と思われる業種・職種の働き手を「逆指名」するというシステムになります。地域に足りない業種や職種の人を募集すれば、移住してくる人、受け入れる地域の人、どちらにもメリットがあるでしょう。町に足りない職能を持つ人を呼び込むことで、能動的に地域のデザインをすることができるわけです。この試みからカフェやベーカリー、歯科医や靴屋などが誕生したおかげで、地域にも活気が出てきたと感じています。

 

引用:“創造的過疎”から考える次世代の町づくり。 - 住んでみんで徳島で!

 

ただ、人口増!とか言うのではなく、そのまちの産業に必要な人を呼び込んでいく!という取り組みは本当に面白いです。

 

④カネの流れの見方

本書では以下のように書かれてます。

そもそも地域政策は、再分配政策の一環として政治的・行政的に行われてきたものが多く、経済的な視点、経営的な視点が軽視されてきました。たとえば、国が50億円の支援をするものの、地方自身も50億円を負担し、その維持に毎年2億円の負担が30年続くといった事業が行われてしまいます。これでは、累計すると地方では60応援の赤字です。そのため、地方自治体が活性化事業をやればやるほど財政負担が増加するという状況を引き越してきました。

引用:地方創生大全

 

そのため、

・稼ぐ→投資→さらに稼ぐ→さらに投資の循環をつくること

・当初計画にこだわらず、撤退ポイントを事業開始前につくっておくこと

・稼ぐことと経費を削ることを徹底的にこだわること

 

なんてことが大事だと本書では述べられています。

 

⑤組織の活かし方

ほんとう、この「組織」ってのが1番やっかいです。

組織内には本当にいろいろな人がいるので、現場レベルでは面白いことを考えていたのに、次第に上から叩かれ、何も当たり障りない取り組みに収束していくということが、まちづくりをしているとよくあります。

 

ここでは、既存の組織を変化させることに労力割くより、「新たな組織」をつくっちゃえ!って言ってます。

 

実際その通りで、気の合う仲間たちだけで、新たに組織をつくり、そこで活動していった方が、意思決定もスムーズだし、機動力抜群なんですよね。

リノベーションスクールとかで、新たに「家守舎」が各地で出てきてますが、こういうことですよね。

 

 

★★★★★

さらっと概要をまとめましたが、本当に勉強になるし、思い当たる節がたくさんある内容になっている本書。

 

ぜひ、買って読んでみてください!

 

 

そんな感じっ!

それではっ!