「●●が家買ったってよ。」
と、人づてに聞いたり、本人から直接
「家買ったわ」
と聞いたりすることが、最近やたらと多い。
もう、20代も終盤に差し掛かると、こんな声が多くなっていくんだなーと最近しみじみと感じます。
んで、大抵こういう話になると必ず出てくるのが、「買った方が賃貸に住むよりお得」という話。
純粋に同世代の友達が家を買った話を聞く分には、「同い年なのに、もう家を買うなんてすごいなー、もうそんな歳になったのかー」と何だか感慨深いのだけど、「買った方がお得」というのは、「いやいや、ちょっと待て」と言いたくなる。まあ、波風立てるから、その場でそんな反論はしないのだけど。
ってことで、普段人には言えない「家を買う」ということに対してぼくが思うことをまとめてみたいと思います。
賃貸より家買った方がお得という話に物申す
この手の話、得か損かで言ったら、必ずしも得だ!とは言い切れないのが家を買う行為だとぼくは考えているんですよ。
①家を買うということは、借金をするということだ
夢のマイホームだ、なんだと不動産業界は必死に宣伝してますが、よく考えてください。
家を買うということはひとつの資産を買うために借金を何十年もするってことですからね。
日本人はなぜか、借金は嫌うのに、この家を買うためにローンを組むというのには全く抵抗がありません。なんで?
しかも、その「家」という資産は、買った瞬間から価値が暴落するものが多い。売買契約を結んだ段階で、「家」の価値は2、3割減になるというのはよく聞く話です。まあ、都心のマンションなどは違いますが、郊外に行けば行くほど、そこらへんのありふれたハウスメーカーの建物であればあるほど、この傾向は強くなります。
そして、ローンを支払い終える30年後くらいには、資産の価値はほとんど0になってしまっている。借金して買った家が高齢者になる頃には価値がほとんどなくなっているって悲しすぎる。
仮に賃貸で住んでいて、家を買わないことで余裕のできた資金で、しっかりと資産運用していたなら、高齢者になる頃には、家をキャッシュで買えるような、つまり借金しないで家を買えるような資産を形成できていることだってあるわけです。(逆に言うと、賃貸に住む人は、将来的に分譲の一発購入を見据えて、住むところ、資産運用を考えていかないとなりません)
②土地に縛られる
賃貸と比べて、マイホームを持つと、ものすっごい土地に縛られます。
何かの理由でこの土地を出たい!と思っても、不動産屋に頼んで買う人が現れなければ、 いつまで経ってもその土地から離れることができません。(引っ越しの頭金を別に用意できるならまだしも)
また、売却価格も何が適正かよくわかりません。不動産屋の言い値になってしまう可能性もなきにしもあらず。
20代の友人が家買ったと聞くと、本当にそこに住み続けると考えた結果、買うことにしたのか?少し心配になります。
震災が起きても、そこの土地から中々離れることができない。
高齢者になって住みづらくなったり、余生はもっと自然豊かな場所で静かに暮らしたいと思ったりしても、中々そこから離れることができない。
こういうことを考えず、ただ単に月々の賃料と月々のローン支払いの額だけを比べて、買った方が得!と判断することは危険なことです。
③人生の様々な選択肢を潰す
土地に縛られてしまうということが大きいですが、家を買ってしまうと人生の様々な選択肢を潰すリスクが高まります。
たとえば、子どもの教育上、どうしてもこの幼稚園や保育園、学校で教育してもらいたいといった場所があっても、そこに移り住むことができない。
たとえば、仕事をやめてどうしても地方に移住したいと思ったとしても、そこに移住することがしにくくなる。
また、本来であれば、家を買うはずだった資金で他の資産を買って、着実に運用していくことができれば、基本価値が下落する一方の家を買うより資産が増える可能性は高いですし、その時々の収入に応じて、住む場所を変えていけば、自由に使えるお金は一定程度確保できますが、家を買って、ローンを組んでしまうと、その返済でいっぱいいっぱいになってしまって、自由に使えるお金が減ってしまうことも考えられます。
使えるお金が減るということは、その分色々な選択肢を潰すことにもつながります。
こういうことを考えると、果たして、安易に家は買ったほうが得だと言い切れるのでしょうか?
これらの持ち家と賃貸の関係については、橘玲さんの著書が本当に参考になるのでおすすめです。
家を買うならワクワクの気持ちが大事
さて、家を買うことは別に得だとは言い切れないことを上述してきたわけですが、こーたろーは「家を買わないほうがいいと思っているの?」と聞かれるとそう思っているわけでもありません。
合理的に考えると、家を買うことは上述したように、別に得でもなんでもなく、むしろ賃貸よりリスキーな部分もあるわけですが、人間、なんだって合理的に考えすぎると、本当につまらない。
ってことで、ぼくは家を買うというのは、それを買うことによって、どれだけワクワクできるか?の視点を大事にしたいと思っています。
これは本当に人それぞれの価値観なので、なんとも言えませんが、少なくとも、郊外のよくわからないところに、安い(自分の今の年収でも手が出せる、ローンが組める)からといって、家を買うことに対して、ぼくは全くワクワクしない。
下の記事にも書いたように、ぼくがもし買うなら、マイホームっていうか、ひとつのアパートを丸ごと買って、自分なりの改修やその場を生かして、まちづくりを仕掛けていきたいと考えています。
郊外にハウスメーカーがつくったようなありふれた住宅を買うことにワクワクするのであれば、それはそれで良いと思います。
ただ、どうにも話を聞いていると、そうでもない。
「賃貸より家買ったほうが得だから」というさも合理的に考えました的な話
「職場や実家への距離を考えて、場所を決めた」というさも合理的に考えました的な話
月々の支払う額と職場などへの距離・立地という、なんだか賃貸を探すときとほとんど変わりばえのしない理由でマイホームを買っているようなんです。
だったら、賃貸でよくない?と思わずにいられません。
日本の賃貸住宅は魅力があまりない
とはいえ、日本の賃貸住宅ってあまり魅力がないんですよね。
かっこよくて惹きつける住宅がめっちゃ少ない。
あることには、あるんだけど、周辺の賃貸住宅の家賃よりも数万円高いなんてことがザラにある。
また、そんなに規模の大きな賃貸住宅もないから、子供ができて、大所帯になってくると、マイホームを持つ、というのは合理的な選択ともいえます。
子供が小学校に入る頃には、なんとなく周りの子供達が分譲住宅に住んでいるのに、自分の子供だけ賃貸に住ませるのもなんだかなーという気持ちになるなんてこともわからなくもないです。
この辺り、何とかならんのですかねー
★★★
とにかく!
賃貸住宅は賃貸住宅で魅力があまりなかったりと、問題はあるのですが、家を買うことが本当に得か?という視点は持っていた方が良いと思います。
別に得でもなんでもないです。
合理的に考えても、家を買うことが得だとは言えない中では、自分の今後の人生やワクワク度から見て、家を買うかどうかを決めた方が、ぼくは楽しいと思います。
おしまい!